こんにちは、東京エレクトロンデバイス アメリカの臼井です。
昨年、物流倉庫管理の自動化・効率化をサポートする物流管理システム HAKO-FLO (ハコフロ) をニュースリリースして早半年、お客様との商談や現場を見学させていただくなどして、物流関係者の方々の生の声で様々なお悩みがあることを肌で実感してきています。
企業様によっては、“DX 関連推進事業部” として自社の物流課題を改善することを目的とし、ソリューションを開発、導入していく関連部署が立ち上がるなど、問題の解決にかなり注力している姿勢もみてとれます。
DX (Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション) という言葉はビジネスの世界でも広く一般的に使用されるようになりましたが、物流業界の課題を解決するための方策としても、DX というキーワードのもと多くのソリューションが期待されているということなのだと思います。
そこで当ブログでは、今の物流業界を取り巻く現状と課題を明確にし、どのようなソリューションが求められているのか? いくつかの回に分けて、様々な切り口で考えていきたいと思います。
■そもそも物流DXとは?
そもそも物流 DX とは何を指しているのでしょうか?
国土交通省の「最近の物流政策について」(2021年1月22日公表) の資料の中では、物流 DX を、
「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革する」 こととしています。

機械化では、これまで人がやっていた作業プロセス自体を単純化・定常化できます。導入コストはもちろん発生しますが、作業に伴う人件費削減、人為的ミスの回避、また、危険な作業であればそれを人がしなくても済むので安全性の確保にもなりそうです。一方デジタル化では、紙での情報管理・運用の電子化、ツールやアプリを使ったより効率的なオペレーションがターゲットになっています。機械化とデジタル化は密に関連しますが、現在人が行う作業を、より効率的に人が行えるようにするということも物流 DX においては重要なポイントといえそうです。そして、最終的に物流における標準化を目指しています。
■物流DX化の現状
DX は様々な業界で推進されていますが、実は物流業界は DX 化が進みにくいといわれています。その要因の一つは、サプライチェーン全体を通して多くのプロセスがあり、それを担う企業が多い点にあると考えられます。1つの荷物だけみても、原材料の「調達」⇒ 商品の「製造」⇒ 商品の「管理」⇒ 商品の「流通」⇒ 商品の「販売」まで幾層もの段階を経て我々の手元に届くわけなので、複数企業を通した仕組みの標準化を行うことは容易ではありません。
また、我が国日本は、国際指標にもなっている IMD 国際経営開発研究所が出している世界デジタル競争力ランキング 2021 において、64か国中 28位というランク付けがされているようです。香港 (2位)、シンガポール (5位)、台湾、中国 (8位)、韓国 (12位) とアジアでみても日本は低い位置にランクインしている状況なので、国を挙げた DX 推進が急務であるといわれています。
加えて、2025年の崖というレガシーシステムに頼ることによる国際競争力の低下を懸念した動きもあります。
DX 化が難しい物流業界で、DX 化を推進しなければいけない状況である、ということなのですね。
■物流DXはなぜ重要?
物流業界が抱える課題として、人手不足が挙げられます。新型コロナウィルスの影響で、EC 市場が急成長し、新しい生活様式として非対面での物流が確立され、今後も継続されると思われます。
荷物が増えれば、作業も増えるため、その分の人手も必要になります。人手があればいいのか?というとそうでもなく、人手が増えれば人件費として増え、それは物流コストに跳ね返ってきます。
そして物流費コストはモノの値段に…
弊社は半導体商社として日々、半導体製品やネットワーク機器の流通に携わっているため、物流費高騰のインパクトは身近に感じられますが、最近だと、2022年 4月にこれまで一律 10円だったうまい棒が 2円値上げした 12円になったとニュースになっていました。これは物流費の高騰の影響を受けてのことです。



コンピュータも半導体チップもうまい棒も物流費高騰の影響はうけてしまう…
実際、ここ数年物流コストは上昇し続けており、2021 年調査では過去 20 年でもっとも高い物流コスト比率である 5.7%となっていました。

物流 DX はこういった問題を解決するための手段となりえます。物流 DX を推進することで、人手不足の解消 ⇒ 人件費の削減、作業負荷の軽減 ⇒ サービス品質向上、物流コストの削減 ⇒ 商品をお求めやすくなる というような良い循環が生まれ、様々なベネフィットが期待できるのではないでしょうか。
次回は、実際に物流DXの取り組みとしてどのようなものがあるのか、弊社 HAKO-FLO ソリューションを例に見ていきたいと思います。