このブログでもご紹介した、RFID 産業を中心に広く Internet of Things (IoT) 分野もカバーするカンファレンス及び展示会RFID JOURLNAL LIVE! 2023 が 5月に米国フロリダ州オーランドで開催され、今年で 17回目となる RFID Journal Award の受賞者が発表されました。
RFID Journal Award は RFID 及び IoT 技術を活用して革新的な導入・展開を行った企業を表彰するもので、リテール、製造業、ヘルスケア、ロジスティクス/サプライチェーンの 4市場を中心に受賞者が発表されました。
なお、今年の RFID Journal Award のノミネート者一覧はこちらのサイト「Finalists Announced for 17th Annual RFID Journal Award」を参照ください。
Best Retail RFID/IoT Implementation – リテール分野
RFID 技術を導入することで、ストックルームから売場への商品補充を改善、各店舗で 1日あたり最大 2万点の商品を配送するプロセスを最適化し、在庫カウントの精度と頻度を向上させたブラジルのリテーラー ロハス・レナー社 (Lohas Renner) に贈られた。
同社は、在庫精度の向上、オムニチャネル販売の実現、補充の自動化、セルフレジの高速化を実現した。
詳細記事はこちら:「CASE STUDY: Lojas Renner Raises Customer Approval with RFID」
Best Manufacturing RFID/IoT Implementation – 製造業
自動車メーカーに製品を供給するためにリターナブル・メタルラックを使用している自動車ガラス製造会社のピルキントン・ブラジル社 (Pilkington Brasil) に贈られた。同社は RFIDを導入して、有効なメタルラックの在庫数を把握し、顧客間でのラックの流れを管理、コンテナのシュリンクと減耗を減らしている。
同社は SmartXHUB社のソリューションを活用することでサプライチェーン上のメリットを獲得し、商品の輸送を可視化できるようになった。
詳細記事はこちら:「Pilkington Brasil Tracks Product Packaging via RFID」
Best Healthcare RFID/IoT Implementation – ヘルスケア分野
ブラジルのイスラエル・アルベルト・アインシュタイン病院 (Israelita Albert Einstein Hospital) は、施設全体と共同利用のために多機能パッシブ RFIDアーキテクチャを導入しており、同じリーダを異なるユースケースに適用して導入コストを削減している。
この病院では、AeroScout Wi-Fi タグとソフトウェアの導入により、患者サービスの向上、労働力の削減、医薬品やティッシュの腐敗防止に役立っている。
詳細記事はこちら:「Israelita Albert Einstein Hospital Uses RFID to Track Temperatures, Assets」
Best Logistics/Supply Chain RFID/IoT Implementation – ロジスティクス/サプライチェーン
米海兵隊ロジスティクス部隊 (U.S. Marine Corps Logistics Command) は、RFID技術を活用して多種多様な機器の大量在庫を監視し、在庫管理と説明責任を改善、国防総省が義務付けている監査に備えている。
Best RFID/IoT Implementation (Other Industry) – 一般市場
英国エイボン&サマセット警察 (Avon and Somerset Police) の IoTベースの NFC ソリューションは、行方不明として報告される認知症患者の数を減らすと同時に、公共の場で認知症患者を保護し、保護者に連絡することで市民が認知症患者を支援できるようにすることを目的としている。
エイボン・アンド・サマセット警察は、世話人や家族から提供されたデータにリンクされた固有の ID番号を含むブレスレットを市民に提供している。
詳細記事はこちら:「Police Distribute NFC Wristbands to Bring Home Those with Dementia」
Best Use of RFID/IoT to Enhance a Product or Service – RFID/IoT 製品・サービス
ユナイテッド・パーセル・サービス (UPS) は、ウェアラブル RFID技術により手動スキャンから自動スキャンに移行した。車両に RFIDリーダーを搭載し、荷物が車内に積み込まれる際に貨物のスキャンを可能にする。
Best New Product – 新製品
今年は InPlay社 (InPlay) のソフトウェア・プログラミングが不要な「NanoBeacon Bluetooth Low Energy SoC IN100」が受賞。
このシステム・オン・チップは、大量生産で 1個20セント程度のコストで、センサーから携帯電話やタブレットへの BLE ワイヤレス通信を可能にする。
詳細記事はこちら:「InPlay to Release Low-Cost SoC for Simple BLE Deployments」
RFID Special Achievement – 特別功労賞
RFID Journal は、特別功労賞を同社の創設者兼編集者であるマーク・ロベルティ氏 (Mark Roberti) に授与した。マークは RFID と IoT 技術に関する企業教育を 20年間行った後、家族と過ごす時間を増やすために 2022年に退職した。退職後マークはコンサルティング会社 RFID Strategies を立ち上げ、エンドユーザー企業の RFID 導入を支援するとともに、RFID 企業の製品マーケティングを支援している。
今年の RFID JOURNAL LIVE! は東海岸のフロリダ州での開催でしたが、来年は Las Vegas で 4月9日~11日の 3日間開催されます。来年はぜひ現地に足を運んでみたいですね。
