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製造、物流、サプライチェーン業界の北米最大規模の展示会「ProMat 2025」

先月 3月17日(月) から 20日(木) の 4日間、米国シカゴの McCormick Place で製造、物流、サプライチェーン業界の最大級の展示会「ProMat 2025」が開催されました。この展示会は、最新の技術やアイデアなど業界のトレンドを直接体験でき、業界の最新動向を把握できる貴重な機会です。会場は例年の South Hall と North Hall での開催に加え、新しく Lakeside Hallも加わり、Startup をはじめ例年以上の規模で開催されました。

Lakeside view from McCormick Place
[会場の McCormick Place から見るミシガン湖は対岸が見えず、まるで海のよう]

最新の製造およびサプライチェーン ソリューション、自動化技術、ロボティクス、AI/ML (人工知能/機械学習) などの最先端技術が展示され、それらの技術がどのようにビジネスに活用できるかを見ることができました。5万人を超える製造やサプライチェーンの専門家が参加、出展者は1,160社を超え、多様な業界の専門家と交流する機会も提供されていました。
主催者である MHI が会場の様子を紹介するビデオ「ProMat 2025 Recap」(4:30) を公開していますのでご参照ください。

多くの企業が新しい製品やサービスを発表し、特にスタートアップ企業が注目を集めていました。スタートアップ パビリオンでは、ロボティクスやAI、IoTを活用した革新的なソリューションが展示され、新たな潮流を感じ取ることができました。

展示会場では倉庫内を自律的に移動し、他の自動化システムと連携して効率的な物流を実現する AMR (Autonomous Mobile Robots: 自律移動ロボット) が多数紹介されていて、今年はより柔軟に周囲の環境を認識し、連携するフリート マネージメントに注目が集まっていました。
自律移動という意味では、自動化されたフォークリフトも多く目にしましたが、運転席のない比較的小型の自律移動フォークリフトも多数目にしました。

また現場で作業を行っている人と安全に協働する Cobot (Cooperative Robots: 協働ロボット) の展示も増えていました。ロボット アームの先端のエンド エフェクターはハイドロリックや吸引タイプのものの組み合わせが多かった印象です。
大型の装置としては、パレットごと積載物を扱うパレット リフトロボットも多く目にしました。加えて適切にパレット上に積み重ねを行うスマート パレット機能も実務で使えるレベルに近づいている印象で、荷積みや荷下ろしを自動化する取り組みは今後加速するものと思われます。

AS/RS (Auto Store/Retrieval System: 自動倉庫) も展示が増えていた印象です。今年はより柔軟な構成が可能になり、小規模展開も可能になってきているようでした。

今年は 200を超える講演やセミナーに加えて 4つの基調講演が行われました:

  • 初日: 「The Data Effect: The Price of Not Knowing
    • Paul Zikopoulos, VP of Technology Unit Skills & Enablement at IBM
    • データ収集と意思決定の役割を分析し、解決可能な問題を見逃すことでどのような機会が失われるかを紹介。これらの力学がどのように革新を推進し、データや新興技術がサプライチェーンやビジネスとのやり取りをどのように形作るかについて説明。
    • データを活用することで、業界を変革する機会を得られる。
  • 二日目: 「The AI Opportunity for Supply Chains
    • Azeem Azhar, Bloomberg “Exponentially”
    • AI がサプライチェーンに与える影響について、学術的研究や実践的な知識を基に解説。
    • AI の複雑さを明確な戦略的利点に変え、サプライチェーンの運用に AIを活用する方法を紹介。
  • 三日目①: 「Journey from Prime Time to Coach Prime
    • Deion Sanders
    • 伝説的なアスリートであり、選手やファンに高いモチベーションを与えるコーチング スタイルで知られ、現在コロラド大学のヘッドコーチである Deion “Coach Prime” Sanders氏による基調講演。チームビルディング、資金調達、コミュニティの形成について、彼独自の視点を共有。
    • 選手時代には “Prime Time” として知られ、史上初めて World Series と Super Bowl に出場したアスリート。
  • 三日目②: 2025 MHI Annual Industry Report: 「The Digital Supply Chain Ecosystem: Orchestrating End-to-End Solutions
    • John Paxton/MHI, Wanda Johnson/Deloitte
    • サプライチェーンのトレンドとデジタル技術に関する最新の報告書を紹介。
    • ディスカッションでは報告書の意義について議論し、サプライチェーン業界に与える影響を紹介。

MHI と Deloitte が発表した2025 MHI Annual Industry Report:「The Digital Supply Chain Ecosystem: Orchestrating End-to-End Solutions」によれば、サプライチェーンのリーダーの 55% が技術とイノベーションへの投資を増やしており、60 %が100万ドル以上を投資する計画です。
また、人工知能の採用が急速に進んでおり、現在 28%の企業が何らかの形で導入しており、さらに 54% の企業が 5年以内に導入する計画です。5年後の採用率は 82%に達すると予測されています。人工知能は、在庫管理や需要予測、物流など多くのサプライチェーン プロセスで既に価値を提供しており、今後もさらに重要な役割を果たすことが期待されています。

2025年のサプライチェーンに影響を与えるトレンドとしては、インフレ (38%)、経済的不確実性(37%)、労働力と人材不足 (35%)、サプライチェーンの俊敏性と回復力 (28%)、在庫の課題 (25%) が挙げられています。これらの課題に対応するために、企業は技術を活用して効率性や透明性を高め、持続可能性を追求しています。

2025 MHI Innovation Awards

Innovation Awards は、製造およびサプライチェーンの革新的な製品やサービスを紹介することを目的としています。ProMat 2025 の出展者から 234件の応募があり、受賞者は以下の通りです:

  • 最優秀イノベーション: Anyware Robotics社、Fremont, CA
    • トラックの荷下ろしとパレット化を改善するための自律的なソリューション「Pixmo Mobile Robot」が受賞対象。
    • このモバイル ロボットは物流作業を効率化し、作業の合理化を実現することで、倉庫や物流施設の効率性を向上させ、従来の手作業に比べて迅速かつ正確な作業が可能。
  • 既存製品の最優秀イノベーション: Concentric社、Carrollton, TX
    • フォークリフトのバッテリー性能を最適化し、機器の寿命を延ばす「PowerHIVE Forklift Battery Reload System」が受賞対象。
    • このシステムは、既存の製品を改良して倉庫の運用効率を高めることに成功しており、特にバッテリーの再充電プロセスを改善することで、整備時間を短縮し、全体的な生産性を向上。
  • 最優秀 ITイノベーション: Fidus Global社、Paragould, AR
    • さまざまな倉庫運用を一つのプラットフォームに統合し、プロセスを合理化し、システム間の通信を改善する「Pontem」倉庫管理システムが受賞対象。
    • このシステムは、倉庫内の作業をスムーズにし、全体的な運用効率を向上させ、企業が物流をより効果的に管理できる。
  • サステナブル最優秀イノベーション: GRI社、Durham, North Carolina
    • 環境に優しい素材を 93.5%使用し、エネルギー効率の高い製造プロセスを採用した「ULTIMATE GREEN XT」タイヤが受賞対象。
    • このタイヤは持続可能性を高めつつも優れた性能を提供し、企業の生産性向上に貢献。

これらに加えて、MHI StartUp Award も発表され、Freespace Robotics社 (Monroeville, Pennsylvania) が受賞し、成長を支援するために 1万ドルの小切手が授与されました。彼らが開発する、倉庫や物流業界に大きな変革をもたらす可能性を秘めた Dynamic Storage Cube技術が受賞対象。
自律ロボティクスを活用し、通常外部に設置されるコンベア機能 (ソート、シーケンシング、プレステージング、ピッキング バッファリングなど) を一つのコンパクトで効率的なキューブ内で実現しています。

Student Day at ProMat

Student Day では、400人以上の高校生や大学生が、物流やサプライチェーン、ロジスティクスの現場に触れ、実践的な学習や業界の専門家とのネットワーキングが行われました。

Women in Supply Chain Conference

初日に「Women in Supply Chain Conference」が行われ、Fortune誌の「10 Innovators Shaping the Future of Health」の一人でもあり、Inner Workout の創設者で同名の本の著者でもある Taylor Elyse Morrison氏による基調講演「From Burnout to Balance: Strategies for Women to Thrive in the Supply Chain」が行われました。

Deloitte の調査によれば、77%の専門家が現在の職場でバーンアウトを経験しています。この講演では、サプライチェーン業界で活躍する女性の職場のバーンアウトの早期兆候やバーンアウト防止ツールの開発方法、バーンアウトからの回復に必要な重要なスキルなどについて紹介されました。

次の MHI主催の製造、物流、サプライチェーン業界イベントは、来年 4月13日(月) から16日(木) にジョージア州アトランタで開催される MODEX 2026 です。次回の ProMat は、2年後の 2027年に今年と同じくシカゴの McCormick Placeで開催されます。